2007年新緑号
TALK巻頭トーク
創業90周年を迎える今年は、
100周年を視野に基盤を固める年
北洋銀行頭取
横内 龍三
(よこうち  りゅうぞう)
PROFILE
1944年7月生まれ。67年3月京都大学法学部卒業、同年4月日本銀行入行。77年フランクフルト事務所駐在、96年人事局長、98年日本銀行退職。2004年10月北洋銀行執行役員副頭取、06年6月同行取締役頭取
横内 龍三 氏

全国との間に感じる経済状況の温度差
北海道の景気回復についてよく質問されるのですが、それは一進一退ではないかと感じています。これは金融業務を通じての実感です。昨年末に、日本全体の景気は戦後最長の拡大期間に入りました。北海道も徐々に回復傾向にありますが、残念ながら明確な手応えを感じるまでには到っていません。全国ベースでの景況感と、北海道ベースの景況感には、やはり温度差があるのも事実です。現在の北海道の経済状況は「伸びない」、あるいは伸びていても非常に低い状態が「じわじわ」と続いているといった印象があります。
ただ、このような状況は今回に限ったことではなく、過去の景気循環の中でも似たようなことが起こっています。そこには道内の経済構造の問題があります。現在、日本の景気全体を牽引しているのは輸出関連産業ですが、北海道ではそうした業種のウエートが非常に低くなっています。つまり第二次産業のウエートが低いという点です。このため、全国の好景気感が北海道になかなか波及してまいりません。加えて人口問題も無視できません。昨年秋に発表された2005年国勢調査では北海道では5年間で約5万5000人減少しました。こうした点も低成長が続く要因と考えられます。このように、さまざまな要因が複合しているのが北海道の現状です。

北海道経済の強みと弱み
こうした構造的制約の下で、今後の対策を考えなければならないのですが、即効性のある解決法はそう簡単には出てきません。北海道経済に強みと弱みがあるとすれば、強みの方はちょっと力を入れれば即効性はあるでしょう。強みは観光を中心とした第三次産業です。まだインフラ整備が進んでいない側面もありますが、まず受け入れ態勢をしっかり整えることが大切です。これはやればやるほど効果が出てくると思います。
北海道においてウエートの高い第一次産業に関しては付加価値を高める加工業を含めて、皆さんが努力をして少しずつその成果が出てきています。
一方、弱みの方は時間をかけ、継続的に努力して克服していくしかありません。それは何かというと第二次産業の分野です。最近は「ものづくり」ということが盛んにいわれていますが、一時的なキャッチフレーズで終わるのではなく、継続的に進展させていく必要があります。特に関連する企業誘致は手を抜かずにじっくり取り組むべき課題です。弱み、強みに目配りをし、メリハリをつけた対策を取る必要があると思います。北洋銀行は北海道経済の活性化に努力をする企業を応援したいと思っています。

道内外を結ぶ潤滑油に
ご存知の通り、道内外問わず金融機関はたくさんありますし、金融機関同士の競争ももちろんあります。競争は必要なことですし、なければならないと思います。北洋銀行は、地域金融機関の中では一番大きな道民の金融機関としてお客さまに競争のいい面を提供していくことを目指しています。金利といういわゆる「価格」だけではないサービスやサポートで他の金融機関との差別化を図っていけたらと考えています。
力を入れていきたい分野は例えば「ビジネスマッチング」ですね。食品加工などいろいろなお客さまの販売先拡大のため、東京などで見本市のような場を作って協力する。道外へマーケットを求める企業のお手伝い、反対に道外の企業が北海道の企業と関係を築いていただくお手伝いをしっかりやりたい。
私どもは仲介者として潤滑油的な役割を果たしたいと思います。メガバンクと競争すれば金利ではかないませんから、メガバンクにはできない部分を一生懸命やる。そのような部分で評価していただけるように取り組んでいます。

知的財産を育てるために大学とも連携
今後は道内で事業を興す、あるいは今の事業を拡大するという起業精神がますます必要になるのではないでしょうか。このような土壌を道民みんなで育てていかなければならないと思います。育てるという観点からすると北海道にはさまざまな大学がありますね。関東・関西を除いてこれだけ大学が充実しているのは福岡と北海道くらいです。私たちはこの知的財産にもっと着目していいと思います。
私どもは各地域と地域を結ぶネットワークの中の一つの窓口という役割も担っていこうと考えています。例えば経済界のニーズと大学における研究成果を結びつけようということで、各地域の大学と提携を進めています。北海道大学、室蘭工業大学、北見工業大学、帯広畜産大学に続き、最近は小樽商科大学とも協定を締結しました。北海道に道内の大学の卒業生が残ってくれるよう、環境整備をもっとしっかりとやらなければなりませんね。

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地域金融機関として選ばれる銀行を
北洋銀行は今年創立90周年を迎えます。10年後の100周年を見据え、踏み台の年と位置づけました。10年先を見据えて、やることはしっかりとやる記念の年にしようということです。より一層お客さまをサポートしていく方に向けていきたいと考えています。
北海道に基盤を持つ金融機関としてしっかりとしたサービスを提供できるような強い体質にしていこうと思っています。そう考えて今年1月、札幌銀行との合併を発表しました。北海道を守っていくために私たち自身が強くなろうということです。100周年を迎えるまでの10年間はこのような展望を持ってやっていきたいと考えています。地域金融機関として生きているわけですから、地域がよくなると私たちもよくなる。地域金融機関と地域はそういう関係だと思うのです。
地域金融機関として、お客さまの信頼を獲得し、お客さまに選択していただける銀行になることを目指していきたいと思います。




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