|
=1=5月5日朝刊・空海マンダラ展 全15段 |
|
=2=5月18日朝刊・ディズニーアート展 全5段 |
今月から本欄を担当する高村です。私の本業は映画ライター。先日、「ラストサムライ」(2003年)でトム・クルーズと共演したベテラン俳優・福本清三さんの半生記「どこかで誰かが見ていてくれる」を読み、その自然体の役者人生に感銘を受けたのですが、広告ではどこかで誰かが見ていてくれる≠ネんて悠長なことは言っていられません。絶対みんなに見せる≠「や絶対見るようにしむける≠ニいうコンセプトが必須です。
その点からいうとこの「空海マンダラ」展=1=は優れていると思います。いかめしい仏像の表情、繊細な指先、竜の顔、曼荼羅(まんだら)図をコラージュしたデザインもさることながら、幽玄かつ荘厳な世界観を表現したカラー印刷のすばらしさにうなります。この広告に魅せられ、実際に見に行ってきました。すると仏像たちがあまりに生き生きしているのにビックリ。下段の仏像群は有名な仏師・運慶快慶の作品などで、中央のやや大きい弘法大師坐像の左側が運慶の像(一部除く)、右側が快慶の像。解説に「運慶は剛健な作風で、快慶は調和の取れた優美な安定感が特徴」とありましたが、実際に見ると運慶の方がバランスのとれた感じで、快慶の方が豪快な気がします。右端の「増長天立像」などは派手でダイナミックなポーズ、しかも腰付きはセクシーですらあると思うのですが…。みなさんはいかがですか?
|
=3=5月18日朝刊・富士重工 全7段 |
|
=4=5月18日朝刊・日興コーディアル証券 全7段 |
|
=5=6月9日朝刊・北海道日本ハムファイターズ 全15段 |
「空海マンダラ」展より前に開催されていた「ディズニー・アート」展=2=。広告のメーンビジュアルは「眠れる森の美女」(1959年)のワンシーンですが、ディズニーアニメは単なるアニメではなく「映画」なのです。その映像はセル画を撮影しただけのものではなく、ムービーキャメラの動感さえも表現しています。「ピノキオ」(1940年)をご覧ください。最初にコオロギがゼペット爺さんの家に向かって飛び跳ねる場面、その映像はキャメラがコオロギの目になった感じで上下動してジャンプしているように捉えられています。この映像の流動性、質感こそがディズニーの真骨頂。こうした作劇の秘密を知りたくて同展に行ったのですが、そこにはまた凄い発見がありました! アニメ作品の全体的なイメージを決める際に描かれる「コンセプト・アート」の原画を展示していたのですが、これはイメージ画を遥かに超えた精妙なアート作品で、見事な絵画ばかり。私は絵画展も見てまわりますが、こんなに楽しめた絵画展は近ごろないくらいです。
この「ディズニー・アート」展の広告が出た同じ5月18日朝刊には、プロスポーツの2大カリスマとも言えるカズ(富士重工=3=)とイチロー(日興コーディアル証券=4=)が見開き左右で登場。加えてこの日の第1面の記事では北海道日本ハムファイターズ・田中幸雄選手の2千本安打達成を伝えていて、なんともハッピー。こいつは朝から縁起がいいわい、とひとり喜んだ次第。この2千本安打達成の祝福コメントを集めた全面広告が6月9日朝刊=5=に掲載されていました。記録達成時のインパクトの拡大写真に、無数の祝福コメントを走らせたデザインも心憎い。これをパネル化したものが田中選手に贈られたということで、それを知るとファンも嬉しいし、嬉しさついでに下段の対戦チケットも買いたくなる、という一挙両得の抜け目ない広告ではあります。
さて私の本業の方、つまり映画の広告で目立ったのは、海賊姿のジョニー・デップを使った「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」や「300」など、話題作らしい派手な広告。しかし惜しむらくは「パイレーツ〜」はモノクロ、「300」は全面広告ではない。そこで全面広告かつカラーを基準に選んだところ、「レミーのおいしいレストラン」=6=(ブエナ ビスタ インターナショナル)と「ライラの冒険」=7=(ギャガ・コミュニケーションズ)に決定。前者はグルメの本場パリが舞台ということで、ソフィスティケイトな感じが優しい画調で表現されています。「ライラの冒険」は、公開は来年の3月ですよ。なのに今からこんな大きな全面広告を出すとは…。配給会社の「絶対にヒットさせるんだ」という意欲が感じられます。それにかれんな少女と黄金の鎧(よろい)をまとうシロクマをあしらった構図が興味をそそります。田中選手のバッティング同様、映画広告はインパクトが大事。それに一番かなっているのが「ライラの冒険」でしょう。
|
=6=5月26日朝刊・ブエナ ビスタインターナショナル 全15段 |
=7=6月2日朝刊・ギャガ・コミュニケーションズ 全15段 |
(2007年5、6月の北海道新聞札幌版掲載の広告から)
|