2007年盛夏号
TALK巻頭トーク
「愚直さで一歩一歩」
130年を越えたサッポロビールに
こだわりながら、つねに新しい展開を。
サッポロビール株式会社 常務執行役員 北海道本社代表
戸田 勇三 
(と だ  ゆうそう)
PROFILE
1946年6月生まれ。70年一橋大学社会学部卒。同年サッポロビール株式会社に入社。88年東京支社東京西支店長、2003年執行役員広域営業本部外食営業部長、04年常務執行役員北海道本部長、06年10月から現職。
戸田 勇三 氏

北海道人の「サッポロビール」へのこだわりに変化

  30年ほど前まで北海道の人は、ビールと言えば必ず「サッポロビール」と言うほどシェアがありました。現在もトップシェアであることに変わりありませんが、残念ながら当時ほどの勢いはありません。わたしどもの商売は「人気商売」です。小売店でお客様に選んでいただいて初めて売り上げになるからです。

  最近は、コンビニエンスストアなど売り場そのものの変化や、本州企業の進出などにより道外出身の方が増えたせいもあって、道内全体で「サッポロ」へのこだわりに変化がある気がします。業務用にしても、北海道で展開される本州企業の飲食店さんはやはり、それぞれの視点から銘柄をお選びになります。

  面白いもので、ビール・発泡酒に次ぐ「新ジャンル」として発売してヒットした当社のドラフトワンは、実は北海道では普及するのが遅かったのです。本州で爆発的に売れて、その波がじわじわと来て、目新しさから北海道でも売れ始めたという感じでした。特に若い方に多いと思うのですが、新聞やテレビなど広告等を見て新商品を買うという人が実に多い。飲んでいても、それがどこの会社の銘柄かということには意外と無関心な方が多い気がします。

  そういう点では、宣伝の影響力をいつも感じます。若い人の感性もめまぐるしく変わってきているので、その辺を把握した商品開発をやっていかなければいけないと考えています。昔は清涼飲料のライフサイクルが半年とか3カ月とかいわれていましたが、今はビール・発泡酒などのライフサイクルもそうなってきているのかなと感じます。  

▲4月28日朝刊 全道版 全15段

創業130周年は北海道に感謝する年に

  わたしは広島県の生まれですが、北海道に赴任して北海道の素晴らしさに感激する日々を送ってきました。北海道の方にとっては、その素晴らしさが日常なので、何が素晴らしいのかということに気づいていないと思うのですが、本州企業のトップの方と話すと、北海道ファンがとても多いことに驚きます。初めて北海道に来た人がその素晴らしさに触れ、惚れて帰るという土地なんですね。大倉山シャンツェから札幌市内を見下ろしたとき、その自然の素晴らしさと、明治9年(1876年)にこの地にサッポロビールが誕生したことのすごさを認識しました。

  昨年、当社は創業130周年を迎えましたが、それを機に、北海道に感謝しようというプロジェクトを組みました。そして、「この大地に、ありがとう、130周年」というキャッチフレーズのもと、さまざまな感謝イベントやキャンペーンを企画・展開し、北海道新聞さんにもいろいろとご協力いただきました。

131年目からはふるさとのために何かしよう

  130周年のイベントを実施しながら、131年目からはどうするの?ということを考えたときに、やはり常に感謝の気持ちを表すことの必要性を感じました。そこで、今年は「ふるさとのために、何ができるだろう? ☆北海道はサッポロビール」というストレートな気持ちを表現したスローガンを打ち出しました。「北海道で日本よ、もっとうまくなれ」という北海道の厳選された食材が当たるキャンペーンもその一環です。北海道のおいしさを全国に知ってもらおうというもので、北海道新聞さんを通じて道民の方に「北海道らしいもの」を選んでいただきました。

  また、食や観光などの「北海道ブランド」を本州に売り込む一環として、2月に北海道(庁)と包括連携協定を結びました。北海道を活性化しなければ! −という思いは、道民の共通認識なのですから、「やっぱり北海道はサッポロビールですよね」と言っていただいた一言で、「一緒にやりましょう」という気持ちになりました。食・観光以外では、環境保全事業も共同実施しており、去年から今年6月に苫小牧で開催された全国植樹祭のお手伝いもしてきました。赤レンガ庁舎の前庭には「植樹祭まであと○日」というカウントダウンモニュメントを作り、知事と除幕式も行いました。今後はそれぞれに特徴のある道内180の各市町村と、なにかしらコラボレーションできないか、考えを巡らせています。

  毎年、夏に札幌・大通公園で開催されるビヤガーデンですが、今年、当社は原点に立ち帰ったものにしようと考えています。札幌を代表する一等地でいちばんいい時期に開催しているわけですから、ビールを飲んで楽しく語らえる場にしようと各社にも提案しました。食べ物・飲み物の充実はもちろんのこと、北海道各地域の食や観光のPRや、北海道日本ハムファイターズやコンサドーレ札幌などを応援するイベントも考えています。「ふるさとのために、何ができるだろう?」という観点から、オホーツク産の大麦や斜里岳の湧水を使った「オホーツクの風」というビールを会場内で数量限定販売する予定です。また、トイレの混雑緩和の一策として、女性専用パウダールームも設置します。どうぞ、ご期待ください。

消費者に安全・安心を伝える

  発泡酒や新ジャンルに注目が集まるなか、最近、当社のヱビスビールが売り上げを伸ばしています。昨今の消費者嗜好の中心は「軽さ」でしたが、もう一度本来のものに戻ろうという意識が芽生えた結果では、と思っています。ヱビス<ザ・ホップ>は、ビールの旨さを再認識していただける商品ということで、マーケティングが非常にいい結果につながったと自負しております。

  また、品質への取り組みとして、生産者の方々と当社の技術者(フィールドマン)とが畑づくりから二人三脚で歩む「協働契約栽培」を、「品質は、畑から。」というキャッチフレーズで打ち出しています。この「協働契約栽培」は、当社の創業時からの取り組みであり、昨年初についに世界中の関係生産先と協働契約栽培の100%化を達成しました。食に対する関心が高まっていることから、おいしいということだけでなく、消費者に安全・安心を伝えるのが企業としての姿勢だと思うのです。130年間こうして一生懸命やってきました、これからも頑張ります、という姿勢は忘れてはいけません。

  当社社長の福永はよくサッポロのDNAには愚直なまでの「こだわり」があるといっています。それは効率性やスマートさが重視される時代には流行らない個性かもしれないが、品質や安全を愚直に追求し続けることこそが正攻法だと信じているからなのです。これまでの130年、またそれ以降の企業姿勢の根幹にはその愚直さがあり、それが新しい展開を生み出していく原動力になるものと信じています。

▲2月25日朝刊 全道版 全30段



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