2007年初冬号
TALK巻頭トーク
「環境と健康に配慮した独自開発の外断熱工法で挑む」
株式会社テスク
代表取締役 
 丹  征吉 
 (たん  せいきち)
PROFILE
1938年9月秋田県生まれ。57年大昭和製紙入社。64年小笠原商店入社、70年同社取締役就任。85年テーオーハウス専務取締役、89年テーオー小笠原専務取締役住宅事業本部長、96年1月に現会社を設立し代表取締役に就任、現在に至る。
丹 征吉 氏

創業時に掲げた三つのキーワード

  当社は札幌を本社として賃貸マンションの販売施工を主体としていますので、市場全体ということに関しては俯瞰(ふかん)的なことはあまり言えないのですが、北海道の建築業界は非常に厳しい状況であることは間違いありません。

  特に今年は6月に施行された改正建築基準法によって建築確認申請の受理の渋滞と建築確認が下りない状態が続いています。従って全国的にもそうですが、6月以後の工事の着工が前年に比較して40パーセント以上も落ち込んでいます。

  この影響は建設業者だけではなく、資材納入業者や設計業界にも大きな打撃になっております。工事量が減少することにより資金がまわらなくなりますので、業界全体が今年後半から来年にかけて非常に厳しい時期を迎えるのではと心配しています。

  1996年、バブルが崩壊し公共工事の減少が予想された非常に厳しい経済情勢のときにこの会社を立ち上げました。

  当初は「外断熱工法」自体が理解されず4〜5年目くらいまでは大変な時期もありましたが、お陰様で創業10年目の目標であった売上50億円突破と本社ビル建築も達成できました。

  スタート時の合言葉は「今までの常識はこれからの常識ではない」。それは自社開発の外断熱工法に特化した営業戦略に徹し、公共工事に頼らず、従来の建築会社のように見積もり合わせなどの価格競争には一切参加しないでやってきました。

  事業のコンセプトとして掲げた「地球温暖化対策」「産業廃棄物対策」「健康対策」の三つのキーワードは、今まさに時代のニーズとして求められ、我々の方向は間違っていなかったと思っています。すばらしい社員に恵まれたことと、技術開発担当の櫻庭副社長と二人三脚で今日まで一生懸命に走り続けてきました。

建物は「量」から「質」の時代に

  1997年の京都議定書の採択以来、世界を取り巻く環境対策は国際的にも緊急かつ重要な課題となっています。しかし、日本政府は海外の温暖化ガスの排出権を買うことによって日本の温暖化ガスの削減義務に充てようとしています。

  これも大切な方法なのですが、もっと大切なことは、増え続ける国内の温暖化ガスを減らすという根本的な取り組みを急ぐべきだと思います。

  昨年政府は、「住生活基本計画」を発表しました。これはいままで進めてきた「量」の供給から、人口減、少子高齢化時代に向けて「質」の高い住宅の時代へと大きく政策を転換したもので、併せて200年住宅構想も検討に入っています。

  日本の住宅は内側断熱の工法が主流であるため平均寿命が30年程度と発表されています。ところが欧米や先進国のほとんどが外側断熱の工法で建てられているため建物の寿命が70年から100年以上と言われております。

  政府の新しい政策は、質が高く、耐久性の高い、健康的で環境に優しい建物へとシフトすることによって、「造っては壊す」の繰り返しの時代から、良質の建物を永く大切に使い、中古住宅の流通市場の確立をしようというものです。

耐久性・省エネ効果を考えた「ハイパール」工法

  当社が技術開発として取組んできたのは外断熱工法です。日本の建築は建物本体の内側で断熱する方法をとってきましたが、他の国のほとんどは建物本体の外側で断熱する、つまり外断熱工法を主流としています。

  当社が開発した「RC外断熱ハイパール工法」はコストメリットの高い「密着型工法」と耐久性に優れた「通気層工法」の2つのメリットを融合した「密着型通気工法」です。コンクリートの躯体(くたい)を断熱材が覆うことで、外気温に影響を受けず建物の耐久性を飛躍的に向上、室内側の温度と同調するコンクリートが蓄熱体となることで冷暖房費が30〜40%削減できる省エネ効果があります。また、通気層が壁内結露や日射による高温化を防止することで外壁の補修はほとんど必要ありません。

  お陰様でこの工法は道外でも評価され、現在、東北電力、東京電力、九州電力各社と提携し、オール電化プラス外断熱のコラボレーションを展開しています。

北海道洞爺湖サミットとこれからの建築のあり方

  来年の7月には地球温暖化対策を主要議題にした北海道洞爺湖サミットが開催されますが、これを境に建築のあり方が大きく変わるのではないかと思っています。建物の温暖化ガスの排出量削減を進めるために、建物の断熱基準を今までよりも厳しくする必要があるからです。つまり断熱性の高い建物が求められるということです。

  国は現在国民参加の温暖化対策として「チームマイナス6%」を展開し、省エネの家電の使用などを奨励しているのですが、それよりも入れ物である建物の断熱性能を上げる基準作りや法整備が必要と考えます。

  断熱というと寒い地方の話と思われるでしょうが、実は暖房代より冷房代の方がはるかにコストがかかっています。

  地球温暖化対策のためにも、今後冷房エリアの人たちにも外断熱工法の省エネ効果を伝え普及させたいと思います。

  今年は、東京都内で、戸建住宅や分譲マンションにもハイパール工法が採用され出しました。

  ハイパール工法のノウハウを提供している建築パートナーも北は稚内から南は福岡まで全国に53社になりました。この工法は住宅だけではなく、温度管理の必要な保温倉庫、精密機械工場、高齢者施設や病院などでもランニングコストの削減と健康面で大きな効果をあげます。

  今後も外断熱工法の省エネ効果や資産価値をアピールして環境にやさしい建物造りを提案していきたいと思います。

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