2008年新春号
TALK巻頭トーク
環境問題に注目が集まる今だからこそ
北海道洞爺湖サミットを成功させ、
その名を世界に残したい
北海道知事政策部参事監
前川 克彦 
 (まえかわ よしひこ)
PROFILE
1977年北海道大学経済学部経済学科卒、2000年総合企画部政策室参事、02年経済部産業政策推進室参事、04年総合企画部政策室次長、同年企画振興部地域主権推進室長、06年東京事務所所長、07年5月知事政策部参事監
 

聞き手:北海道新聞社常務取締役広告局長 村田 正敏

「北海道洞爺湖サミット」が、2008年7月7日(月)から9日(水)までの3日間の日程で、北海道洞爺湖町において開催される。先進国主要8カ国の首脳がつどい、地球温暖化対策をはじめとする国際社会の諸課題が話し合われる。北海道として、かつてない大イベントを半年後に控え、北海道洞爺湖サミットを統括する参事監として、開催準備の陣頭指揮にあたっている前川克彦氏に、開催に向けた思いなどをうかがいました。

環境をテーマにしたサミットを北海道で開催する意義

北海道知事政策部参事監
前川克彦 氏

村田: 北海道洞爺湖サミット開催まで半年余となりましたが、現在の状況はいかがですか。

前川: サミットは日本国内のみならず、世界からも注目される会議ですので、大きな責任とともに北海道を世界にアピールする大きなチャンスだと思っています。昨年6月に民と官の73団体が集まり、道民一丸となった取り組みを進める北海道洞爺湖サミット道民会議を立ち上げました。この道民会議を中心に準備作業を進めているところです。11月には道民会議のシンボルマークも決定しましたし、サミット開催を歓迎する旗や幟(のぼり)なども様々な場所に掲げていますので、開催機運は、徐々に盛り上がってきています。

村田: 今回のサミットでは、北海道として、「安全・静穏」「コンパクト」「環境との共生」の3つをコンセプトに掲げられています。なかでも主要テーマが“環境”である今回のサミットを自然豊かな北海道で開催する意義をどのようにお考えですか。

前川:  本来の目的である実のある対話を実現してもらうため、わたしたちは「安全・静穏」を確保するために最大限の努力を払わねばなりません。また、今回のサミットでは、既存施設を有効活用し、宿泊と会議を同一施設内で確保するなど財政面でもやさしい「コンパクト・サミット」を提唱しています。「環境との共生」についてですが、現在わたしたちは、<The hottest Summit in Cool Hokkaido.>というスローガンを掲げています。7月上旬といえば夏ですから、全国どこをさがしても、北海道ほど過ごしやすく、議論しやすい場所はありません。「熱い議論を涼しい北海道で」ということですが、環境を主要テーマとしたサミットが豊かな自然に恵まれた北海道で開催されることは、まさにふさわしいことだと思っています。日本国内・海外から訪れる多くの報道陣のために隣町の留寿都村に国際メディアセンターを設置しますが、雪冷房を使うことも決まっています。環境と共生している日本を世界にアピールすることができればと考えています。
 また、洞爺湖は10万年前にできたカルデラ湖で、近接する有珠山は過去100年間に4度の噴火活動が観測されています。2000年の噴火も記憶に新しいのではないでしょうか。このように活火山のもとで火山と共生しているという暮らし方を伝えることができれば、さらに意義深いものになるのではないかと考えています。

全世界に北海道を、洞爺湖を知ってもらうために

村田: 道民はサミットを地域振興の起爆剤として期待している面もありますが、北海道としての取り組みについてお聞かせ下さい。

前川: サミットを安全にかつ成功裡に終わらせるというのが、開催地として第一の義務です。一方では、われわれも期待しているところですが、「サミットが開かれる、開かれた」ということで北海道の名が世界に発信され、有名になることで、いろいろな産業や地域の振興にプラスになることを期待しています。私どもの役割は、この機会に北海道という名を全世界の方々に知ってもらうための施策を打つことにあります。その一つとして、国内外のプレス関係者向けに「北海道データブック」の発行もしております。これ1冊で北海道の地勢から経済、イベントの開催情報までわかります。また、JR北海道さんやバス会社さんにもご協力いただき、サミットの前後5日間使えるフリーパスを海外のプレスに配布することも決定しました。北海道データブックと合わせて活用してもらい、自由に取材してもらえれば北海道の良さをさらにアピールできるのではないでしょうか。

村田: 北海道には世界自然遺産の知床や、ラムサール条約の登録湿地にもなっている釧路湿原などがありますし、フリーパスを利用すれば、そうした場所も見ることができますね。

前川: そうですね。様々なかたちで、どこに行けば何を見ることができ、どんなイベントをやっているのか情報提供し、北海道の魅力を余すことなく本国に伝えていただきたいと思っています。

北海道の食と観光のPRについて

村田: 沖縄などはサミット開催後、観光客が増加したほか、泡盛などの県外消費が増加したそうです。北海道は食の宝庫でもあり、日本はもちろん世界中に食の北海道ブランドをPRする絶好のチャンスだと思いますが、いかがですか。

前川: 北海道をアピールするため、11月に東京都内のホテルで在京外国人記者やサミット関係大使館などを招いた「北海道洞爺湖サミットの夕べ」を開きました。道産のタラバ蟹や紅鮭などの魚介をはじめ白老牛やエゾシカ、小麦、じゃがいもなどの野菜を使ったメニューは大変好評で、わたくしどもとしても確かな手ごたえを感じました。また、北海道の国立公園やラムサール条約湿地、知床など自然環境を紹介したパネル展示や、北海道の歴史、アイヌ民族の文化なども紹介することができ、北海道に関心を持っていただけたのではないでしょうか。また、在京外国人記者などを対象にしたプレスツアーも開催しておりますが、サミット会場などを視察すると同時に、北海道の環境、食、自然、芸術文化を実際に体験していただこうというものです。1回目のツアーは釧路・十勝・日高・胆振地域が主だったのですが、アイヌ文化の紹介や十勝における環境配慮型農業、環境保全による日高沖水産資源の復活、アポイ岳の希少植物の再生・保全、サラブレッド若馬育成の取り組みなどを紹介することができました。参加者からは「北海道への理解が深まった」という感想が多数寄せられました。引き続きツアーを実施し、どんどん本国の方へ、北海道のことを報道していただこうと思っています。また、北海道の食をPRするため、首脳の食事や国際メディアセンターの食堂などで道産品を使っていただけるように関係各所に働きかけているところです。

心温まる北海道のおもてなし

村田: 「開かれた心と細やかな気配りで世界のお客様をおもてなし」というスローガンを掲げておられますが、具体的な取り組みについて教えていただけますか。

前川: 例えば、地域の住民や企業などと連携し「花いっぱい北海道洞爺湖サミットプロジェクト」や、開催地周辺の美化活動や環境整備にも取り組んでいきます。緑化関係団体のネットワークによる研修会・ワークショップを開催するなどして、地域の方々の意識も盛り上げていけたらと期待しています。
 また、地元住民やボランティアの皆さんとともに表情豊かで心温まるおもてなしをしたいと考えています。海外の方がいらっしゃるというと、どうしてもすぐにわれわれは「英会話ができないと!」ということになりがちですが、プレスや大使館の方々と話しをした限りでは、言葉が話せてなくても日本的なおもてなしやサービスに期待する向きの方が大きいようです。その意味で掃除の行き届いた清潔な宿泊施設、日本人・北海道民ならではのおもてなしの心があれば、言葉は通じなくても、つながるものがあるのではないかと思っています。また、大切な海外からのお客様を温かくお迎えする「おもてなし」の向上と定着を図るための啓発活動の方も行っています。
 サミットを成功させることは当然ですが、いろいろな意味で来る方にも、迎える方にも、充実したサミットにしたいと思っています。

村田: 北海道洞爺湖サミットが成功するよう、心から願っております。地元紙として、歓迎気運の盛り上げなどお手伝いできればと思っています。本日は、貴重なお時間をありがとうございました。


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