2008年春季号
TALK巻頭トーク
北海道観光のテーマ「旅」と「食」をPRするために
道産子の視線で地域に特化したサービスを提供
普門エンタープライズ株式会社
代表取締役社長 
 小瀧 暁一 
  (こたき きよかず)
PROFILE
1948年江別市出身。大学卒業後より旅行業に就き(株)札幌ツーリスト専務時代の1987年韓国交通大臣賞受賞。同年、道より「一村一品地域アドバイザー」に任命される。1989年普門グループを設立。日本旅行業協会本部運営役員。
小瀧 暁一 氏

旅行に携わり40年、
常に独自の企画を求めて

  普門というのは仏教用語で「宇宙であまねく人が集まる広く大きな門」という意味です。平成元年に会社を設立した時に、知り合いのご住職につけていただきました。「多くのお客様が集まる」という意味とも繋がりますし、普門という名前の響きも気に入っています。私が旅行の世界に入ってからしばらくは、日本の高度成長期とも重なり業界は活況を呈していました。企業の団体旅行や招待旅行などの需要もたくさんあり、旅行会社は航空券の手配だけでも相当の利益をあげることができました。しかし、同業他社とは規模で劣る当時私の勤めていた会社が、よそと同じことをやっていたのではさらに飛躍することは難しいのではないかと考え、国民宿舎を使った九州旅行を企画しそれを新聞広告で募集したのです。すると、企画した我々が驚くほどの反響があり実にバス10台という大きなツアーになりました。そういう手法をとったのは、当時の北海道では初めてだったと思います。

 それからは「我々でなければ考えつかないような企画をお客様に提供したい」という一心でツアーを作り続け、気がつけば旅行業に携わって40年もの歳月が流れていました。

旅行業界の新しい流れ〜地元に根ざした企業として

  旅行会社というのは昔からカウンター越しにお客様と接しながら商談するものでしたが、加速度的にインターネットが普及した今では、航空券もホテルもお客様が自ら探して直接手配できる時代になりました。ツアーのパンフレットもインターネットで覗くことができます。「うちはダイビングに詳しい」とか「アフリカならおまかせ」というように完全にひとつのものに特化し、ほんの数人で経費をかけずにネット販売する旅行業者も近年非常に増えてきています。いきおい業界でも、店舗やカウンターに高い経費をかけることへの是非が議論されるようになりました。そんな中、3月21日に当社の東京オフィスがオープンしますが、これは東京発の北海道ツアーを造成し、インターネットで販売するための拠点にと考え開設するものです。北海道内の旅行マーケットには、ある程度限りがあります。しかしネットを利用すれば、店舗を構えずとも東京という巨大なマーケットを我々の商圏にできるのです。

  北海道生まれの旅行会社として20年、これまでに培った経験や、地元企業・自治体とのつながりはどこにも負けない自信があります。道産子の会社だからこそ、北海道の情報につぶさに接しそれを活かすことができる。例えば、当社の人気商品「釣りツアー」「花ツアー」は道新スポーツ発行「釣り新聞」「花新聞」の専門スタッフにご協力いただいていますが、これなど地元企業タイアップの好例だと思うんです。北海道の観光といえばラベンダーや旭山動物園など定番も多いですが、私たちはこれからもっと「観光」そのものを掘り下げていく必要があるのではないでしょうか。更には、農業や漁業に従事されている方も世代が変わってきていて、今その人たちが新しい価値のあるものを作り出そうとしています。今後、これらが北海道観光の新しい財産として育っていくことでしょう。我々は地域に根ざした強みを生かし、こうした北海道のムーブメントを旅行商品にどんどん盛り込んでいきたいと思っています。微力ながらそれもひとつの地域貢献かな、と。

観光で訪れる方に北海道の食を楽しんでもらいたい

  平成元年の創業時に(株)普門塾という飲食事業部門の会社も同時に立ち上げました。最初に手がけたのはカニ料理の「雪華亭」。当時はバブルの最盛期ですから、産地北海道といえどもかに料理店はどこも高価でした。職業柄「手ごろな料金でおなかいっぱいカニが食べたい」という観光客の声は耳にしていましたので、どうせ旅行屋が開く店なら「ツアーに組み込めるような明朗会計でリーズナブルなカニのフルコースを作ってやれ」とばかり、常識破りの値頃感あるメニューを打ち出してみたところこれが旅行会社やツアー客に大好評。もちろん味は本格派を貫き、冷凍ではない浜茹での毛ガニをお出しするなど品質管理は徹底しました。その後、居酒屋「炙屋(あぶりや)」を展開、お陰様でこちらも順調です。「地元の店で地のものを食べたい」というお客様の声はいつでも大切にしていたいですね。

  そして今年1月、時計台前のビル1Fに「北海道カフェ」をオープンさせました。「雪華亭」「炙屋」同様、北海道観光に来た方に「北海道の食」を楽しんで頂きたいと願って開いた店です。カフェというのは私たちにとって未知の分野でした。実は長崎の佐世保バーガーを見て「北海道の食材を生かして何か作れないか」と数年来思案していたんですが、去年ようやく「北海道バーガー」を考案、炙屋での試験販売にこぎ着けました。この感触が非常に良かったもので、新しいカフェの目玉商品には迷わず北海道バーガーを抜擢しました。今冬の雪まつり期間、タラバガニの入った「王様バーガー」が昼過ぎには売り切れ、嬉しい悲鳴を上げました。1個1,200円というハンバーガーにしては高い値づけの商品ですが、これは素材や味に妥協しなかった結果導き出された言わば「食べれば納得」の料金なんです。実際、北海道を訪れる観光客は北海道でしか味わえないものを「少し贅沢かな?」と思いつつも召し上がります。そういう方々を裏切らない「本物」を提供することこそ、観光に携わる者の使命だと思っています。

  北海道の観光にとって”食”は重要なファクターです。心ある生産者は「いいものをつくろう」「地域のブランドを確立しよう」と頑張っています。彼等のつくる優良道産素材が「北海道カフェ」を通して世に出てくれたらいいな、そんな風に考えているんです。言わば地方にとってのアンテナショップ的な存在ですかね。そうしてみると「旅」と「食」の両方を持っている当社が北海道に貢献できそうなことは、まだまだいっぱいありそうですね。

▲1月3日朝刊 札幌本社版 全30段

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