2008年新緑号 |
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メディアの多様化によって、そこに掲載される商品情報も増えてきている。それらの商品情報を人々はどう使い分けているのだろうか。 筆者は2000年より、大日本印刷株式会社とメディアの価値について共同研究してきた(メディア・バリュー調査)。この研究では、消費者の意思決定プロセスと利用メディアの違いを探るために、消費者が普段見ているメディア、商品を比較検討する際に用いるメディア、最終決定する際に用いるメディアを毎年調査している。たとえばビールなどの比較的価格の安い商品では、どの段階でも店頭、テレビCM、チラシ広告など、自らが積極的に情報をとりにいかなくても済む受動的なメディアがよく利用されているが、自動車のような高額商品では、普段はテレビCMだが比較検討になるとネットや店頭が増え、購買では店員情報が圧倒的に多くなる。実際に購入になると、自ら情報をとりにいく能動的なメディアのウェートが高くなるのが特徴である。 これに対して、旅行の場合、意思決定の段階に応じて利用メディアが変化するのではなく、旅行に対する興味度合いで利用メディアが異なることが特徴である。大きく分けると3つのグループが存在する。 まず、新聞、チラシなどの、自分から積極的に情報を取りにいかなくても入手できるメディアだけで、比較検討や購買まで行っているグループがある。このグループに属する消費者は旅行に対してそれほど関心が高くなく、自由旅行よりは最初から最後まで、すべてセットになった、パック旅行を好む傾向がある。 これに対して、ネットや口コミ、雑誌など、自ら積極的に情報を普段から収集し、比較検討や購入までも、それらの情報源だけで済ます消費者がいる。彼らは旅行に対して非常に関与が高く、往復の交通手段や宿、途中の移動手段なども、すべて自分で手配しなければ気のすまない人たちである。 3つ目のグループは上記2つのちょうど中間に位置する人たちで、通販カタログや旅行会社のDMなどを普段、比較検討、購買の段階で多く用いる。自動的に送られてくるメディアを利用しているところは受動的だが、封を切ってしっかり読むところは雑誌メディアを読むのと同じく能動的な行動である。彼らはパック旅行は嫌いだが、すべて自分で手配するのも面倒な人たちで、「〜ステイ4日間」といったタイプの旅行が好きな人たちである。 つまり、旅行は、関与の違いによって用いるメディアが異なるわけだ。なるほど、新聞に掲載されている旅行商品は、ほとんどが至れり尽くせりのパック旅行である。これに対してネットはどうだろうか。旅行会社のホームページを見る限り、自由旅行の人向けというより、リアルのカタログがそのまま読める、といった機能のほうが充実しているように思われる。確かにネットは一般の人の利用も多いが、これでは旅行会社の店頭業務の代替であり、新たな市場開拓にはあまり役に立っていないだろう。メディアによって掲載する情報を変えていかねばならないことを、この結果は示している。
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