「予備校を生活の一部に」という提案を新校舎に託す
1980年代後半から90年にかけては予備校バブルの時代。つまりそれは第2次ベビーブーム世代の子どもたちを予備校各校が奪い合うという状況でした。河合塾は北海道地区で地場大手の札幌予備学院と1973年から業務提携していましたが、その後の少子化の影響もあって、2004年8月に経営譲渡という形で当校が引き継ぐこととなりました。2005年から本格的に当校のカリキュラムを導入してスタートし、今年で4年目を迎えます。
札幌予備学院とは1コマの授業時間などシステムが違う部分もありましたが、「生徒の能力をどう伸ばし育てるか、そのために何をどうすればいいのか」、という一点については、両校とも同じ目的意識、いわばDNAが一緒なので、少なからずあった壁は難なく越えることができました。また昨今、個人情報保護が叫ばれる中、河合塾提供の模擬試験の結果も個人情報となるので、その管理など2校の統合は大きな意味のあるものになりました。
先程ふれたように今は少子化時代ですし、生徒集めには予備校・塾はどこも苦戦しています。加えて、北海道の予備校では浪人生が主体で、現役高校生が予備校に通う割合は非常に低い。そこで当校の商品ラインナップである現役生だけを対象にした「高校グリーンコース」を札幌校にも新設しました。学校から家への帰り道に予備校に通うという新しい高校生活のスタイルを伝えるためにハード面も整備してきました。予備校での学習が生活の一部という認識、感覚を持ってもらいたいと考えるからです。生徒たちにとってここは勉強するだけの場所ではない、コミュニケーションの場なんだということを体感してもらうためにも設備を充実し、3月に新校舎(札幌駅北口)に移転しました。ターミナルという機能はもちろん、北海道大学が近い札幌駅という立地も重要でした。その効果はすぐに実感しましたね。当初、我々が想定していなかったエリアから通ってくる生徒さんが増えたのです。みなさん予備校を選ぶとき、通学の利便性を一番にあげられます。
そして、当校が長年積み上げてきたノウハウを生かした設備環境。学びやすさを重視した広い机、長時間座っても疲れない椅子、自習室の個人ブースなどはすべて当校独自の基準・規格で作っています。昔の生徒はどちらかというと干渉されることを嫌う感じがありましたが、今は逆のように思います。身近で自分を見てほしいという気持ちが強く、そういった高校生の感覚・距離感を大切にしています。教室のサイズは大きくてもせいぜい120人教室。小さい教室では30人。これらを含めた設備面は、お陰様で生徒からも好評です。
安心・安全・コミュニケーションというキーワードを掲げ、ここに毎日来て、生活の一部分になる、受験生にとってキモチのいい場所になる、ということを目指したことが、認知されつつあると思っています。
独自のシステムと北海道の地域色を考慮したフォロー体制
北海道の生徒たちはみんな原石です。素直で、真面目。こういう子供達は絶対伸びます。ただ残念ながら北海道の場合はその風土が育んだおおらかさという面が、高校での取り組みや学習の習慣にも影響して、進学という点については道外に比べて弱いという印象があります。いわば進路という広義の捉え方はするけれど、進学への目線が薄いということでしょうか。ですから進学に向けて、いかに育てるか、いかに伸ばすかということが大事ですね。河合塾のカリキュラムはもちろん全国共通のコアの部分はそのままに、当校では各地の状況を踏まえて教材を作り上げていくという手法を取っているので、ここでも北海道ならではの工夫を加えています。生徒たちを確実に大学に入れるためにはレギュラーの授業プラスアルファの緻密なフォローが必要なのです。
また、「パーソナル支援システム」を導入し、チューター(塾生指導担任)が授業出席の管理から成績の管理、いろいろな悩み相談まで、予備校でそこまでやるの、というくらい緻密に行っています。システム化してできるだけ可視化し、みんなで情報を共有し、指導に活かしていくということで全国的に取り入れているシステムです。
最近の若い人には、目の前の3つ4つの選択肢から自分の実力に合うものをチョイスするという傾向が強いようですね。まずこうありたい、そのためにはどうすればいいかということを目標化するのが苦手な子たちが多い。大学の先生にお話を聞いても、就職活動をする学生もそういう傾向が強いとのことでした。受験とはいってみればプロジェクトですから、目標のためにどんなハードルがあってそれをどうクリアしていくか、そのためには今何をやるかといったサポートが我々の仕事だと思っています。予備校というと受験テクニックを身につけられるというイメージを持っている生徒が結構いると思いますが、世の中にはいろいろな世界があり、いろいろな方向性があるということを伝え、人間的にも刺激を与えていきたいですね。
新たな柱づくりのために2〜3年後を見すえた中長期戦略を展開
浪人生を核とした昔のままの予備校の運営ではいずれ限界が来るのではないでしょうか。ですから、経営という観点でいうと、やはり現状プラスもう一本、柱を確立しなければならないと思っています。中・高校生市場がその一番の候補と成りますが……。
わたしは広島や首都圏でも勤務していましたが、北海道は、まだまだこれからが色んなレベルでの変革も予想され、市場の魅力という捉え方をすると非常におもしろいし、期待とか楽しみがありますよね。札幌だけで展開するのか地方拠点に幅を広げていくのか、当校の持つ授業モデルをどう組み合わせるのかといった部分を、これから2〜3年後に向けて、中長期の戦略として育てていこうと思っています。北海道でもっと我々なりに貢献し、河合塾としてお客様の人生の大切なテーマに携わりサポートをするというのが目標ですね。
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